世界中のワイン産地からノース・カンタベリーのこの地へ
粘土石灰質土壌で、ビオディナミ農法と自然な造りを実践
1999年にノース・カンタベリーのワイカリ近くに敷地を購入し、2000年からピノ・ノワールとシャルドネを、ビオディナミ農法で、そして接ぎ木なしで植樹を始めたのは、ブルゴーニュに傾倒するマイク&クラウディア・ワーシング夫妻。
マイクはブルゴーニュで栽培醸造学を修めた後にモンティーユ、プス・ドール、ニコラ・ポテルで、またアルザスではダイスやクレイデンヴァイス、モーゼルのエルンスト・ローゼンなどでも研修を積んでいる。
4区画2.2ヘクタールの畑は栽培密度が10,000〜12,000株/ha。羊の牧草地に囲まれた地で、紀元前2〜3万年前に地殻変動で隆起した石灰岩が頂に見え、丘の下方の粘土層が重なり合うその接点を開墾した。
植樹された4区画には、それぞれの区画で最も勢いのよい草花の名をつけ、ラベルにもその絵が描かれている。
「エンジェル・フラワー」は粘土20%、石灰岩3〜7%の北向きの斜面で、豊かな光を受けデリケイトで優美な香りを備えたピノ・ノワールが生まれる。
「アース・スモーク」は、重い粘土30%、石灰岩12〜15%の東向き斜面で、深みのある野性的なピノ・ノワールとなる。
「ライオンズ・トゥース」は、粘土30%、石灰岩15〜20%と石灰が多い東向き斜面で、黄金色でトースティーな香りのシャルドネに。
「フィールド・オブ・ファイアー」は10〜15センチほどの海緑石粘土層の下が石灰岩の南東向き斜面で、デリケイトなシャルドネとなる。
4区画の初ヴィンテージにあたる2006年産が造れるようになるまでに、他の生産地で畑を借りてワイン造りを行っており、その名残が「ピラミッド・ヴァレー・ヴィンヤーズ グローワーズ・コレクション」。
例えば、セントラル・オタゴはフェルトン・ロードの畑で造られる「カルヴァート」、マールボロはアンツフィールドの畑で造る「カウレイ」、同じくマールボロはフロムの畑で造る「リヴァー・ブロック」などがある。
「ワインはまるで岩の瓶に閉じ込められた精霊のようであり、それをうまく引き出そうとしているだけ。ビオディナミ農法、手作業での栽培、低い収穫量、ナチュラルなワインメイキング、これらはすべてそのために行っている」とマイクはいう。
発酵では、畑の中に自生する酵母を毎年培養し、スターターとして利用。
ピノ・ノワールは、100%手作業で除梗のうえ、25%を足で破砕、5〜7日間浸漬。発酵温度は約33度で、キュヴェゾンは4週間ほど。フレンチオークで10ヶ月熟成させた後、タンクで6ヶ月貯蔵する。
シャルドネは、ホール・バンチ・プレスの後、450〜500リットルのフレンチオークにて発酵。2011年から素焼きの甕も使い始めた。マロラクティックも自然にまかせ、11ヶ月ほど樽内で、9ヶ月タンク内にて貯蔵。
いずれも無清澄、無濾過で瓶詰めされ、亜硫酸添加はほとんど行われず、瓶詰め時に極少量加えることもある程度。
類い稀な自然体のワインは、このようにして生まれている。
生産者情報のPDFダウンロード:ピラミッド・ヴァレー