ロワールのマイナー産地が育む 爽やかな白と繊細な赤
ロワール川から少し離れるが、サンセールの西20キロほどの距離に位置するカンシーとルイィもロワール地方サントル地区の一部である。
カンシーはソーヴィニヨンから造られる白ワインのみが認められ、現在の栽培面積はおよそ270ha。
ルイィには赤、白、ロゼがあり、赤用のピノ・ノワールと白用のソーヴィニヨンのほか、ピノ・グリの栽培がロゼ用に認められている。栽培面積はカンシーより若干小さな210ha。
この忘れられがちなマイナー産地でもっとも信頼のおける造り手のひとつがドメーヌ・マルドン。
カンシーに代々続くドメーヌであり、現在は5代目のエレーヌ・マモー・マルドンが当主。
エレーヌは父の没後、2002年より経営に参画している。
近年、ルイィの面積を増やしたため、ドメーヌの所有畑は合計19haへと拡大。カンシーが大部分を占め、ルイィは5.5ha。
ルイィは以前、ピノ・ノワールから造られる赤のみだったが、2011年に白、2012年にロゼをラインナップ。
ブドウ畑は現在、リュット・レゾネからビオロジックに移行中である。
白ワインの醸造は温度調整可能なステンレスタンクを使用。スタンダードなカンシーは、自生酵母による自然発酵のワインと培養酵母を用いたワインを後にアッサンブラージュする。基本的に砂がちなカンシーの土壌からは軽めのワインが出来上がるが、このドメーヌのワインは十分な厚みが感じられる。
またカンシーには樹齢45年の古木から造られる上級品の「キュヴェ・エドム」があり、こちらはさらに酒質が高い。キュヴェ・エドムは培養酵母を用いず、すべて自然発酵による醸造。
ルイィの赤は100%除梗し、低温マセレーションを3日間。酵母は添加せずグライファイバータンクでアルコール発酵を行い、古樽で10〜12ヶ月熟成させる。
白のマロラクティック発酵はしないが、赤は行う。
ロワールのピノらしい、繊細で奥ゆかしいスタイル。 白はシェーヴル・チーズに、赤はウナギの赤ワイン煮に合うだろう。