ビオディナミの導入により変革が始まったジュヴレの古典派ドメーヌ
古典的なジュヴレ・シャンベルタンの造り手として知られるドメーヌ・モーム。
先代のベルナール・モームはディジョン大学で生化学の教鞭をとる傍ら、大伯父から受け継いだこのドメーヌでワイン造りにあたっていた。
その息子がベルトラン。彼も父同様、ディジョン大学で醸造学のディプロマを取得した醸造家。
しかしながら、ワイン造りはテクノロジーとは無縁な昔ながらの手法で、発酵温度の管理をするようになったのさえ2005年以降のことである。
ブドウ畑の面積は4.47haと小さいものの、4つの1級畑——ラヴォー・サン・ジャック、シャンポー、ペリエール、シェルボード(ペリエールとシェルボードはそれぞれの面積が小さいため、アッサンブラージュされて畑名なしの1級として瓶詰め)、ふたつの特級畑——マジ・シャンベルタンとシャルム・シャンベルタンといった数々の銘醸クリマを所有している。
そのドメーヌ・モームに2012年、大きな変革が起きた。カナダのモレ・トーズによる買収である。
ドメーヌ・トーズはカナダのトーズ・ワインのフランスブランド。自社畑をドメーヌ・トーズ、買い葡萄、買いジュースでのネゴシアン生産をマルシャン・トーズというようにカテゴリー分けされている。
買収後は、ドメーヌ・トーズにおいて造りの責任者であるマーク・フィンチャムが指揮を執る。フィンチャムはイギリス出身で、シャトーヌフ・デュ・パプを中心にワインづくりに携わった後、2010年にマルシャン・トーズに着任。モーム買収直後の、トーズとしてのファーストヴィンテージからここでワインづくりに携わっている。
すでにブドウ畑ではビオディナミへの転換が始まっており、そのスタイルは以前のドメーヌ・モームとは全く違ってきている。
また醸造においてはこれまで100%除梗していたが、ヴィンテージやキュヴェによっては10〜15%全房で仕込みを行う。
2013年産まではドメーヌ・モームの名前でリリースされてきたが2014ヴィンテージからは「Maume by Domaine Tawse」の名でリリースが開始している。