日本人女性の細やかなセンスが生きる
上品な仕上がりのブルゴーニュ
シャントレーヴは日本人女性醸造家の栗山朋子さんと、そのパートナーであるギヨーム・ボットのふたりが、2010年ヴィンテージにスタートさせた、サヴィニー・レ・ボーヌを本拠地とする生産者。
栗山さんはガイゼンハイム大学で醸造学を学び、2011年までラインガウにあるアルテンキルヒ醸造所で醸造責任者を務めていた才媛。
ギヨームはピュリニー・モンラッシェのエティエンヌ・ソゼで働いた後、2002年からはサヴィニーのドメーヌ・シモン・ビーズに請われて移籍。当主だった故パトリック・ビーズの右腕として活躍した。
2022年4月からはシャントレーヴに専念し、エティエンヌ・ソゼ、シモン・ビーズで培った知識と経験を生かし、栗山さんと二人三脚でワイン造りをおこなっている。
ふたりのメゾンは、ブドウや果汁の段階からワインを仕上げるネゴシアン・ヴィニフィカトゥールからスタート。
原料の供給元にも足繁く通い、自分たちの目が完璧に行き届く範囲に規模を留める、オートクチュールな造りが特徴だ。
原料購入のポイントはまず畑まで出向き、その仕事ぶりを見ること。価格的に15〜20%ものプライムのつくビオの畑を優先して回っているという。
初ヴィンテージの2010年ブルゴーニュ・ピノ・ノワールは、早くも英国の著名ワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソン女史の目にとまり、彼女のウェブサイトで「今週のワイン」に取り上げたほど。
この生まれたばかりの造り手に、世界が注目し始めている。
2011年まではポマールに借りていたスペースでワインを造っていたが、2012年以降、サヴィニーに完成した新たな施設で醸造。
年を追うごとにふたりの目指す方向性が定まり、ワインの完成度を上げているのがなんとも頼もしい。
そして、遂にドメーヌ・シャントレーヴが誕生した。
2018年にアリゴテの畑0.17haを手に入れ、その後2020年には、サヴィニー・レ・ボーヌ村、ショレ・レ・ボーヌ村、オート・コート・ド・ボーヌのリージョンに4.79haの畑を買い足した。
現在は、白ワインがアリゴテの5銘柄を含めて7銘柄、赤ワインが2銘柄、計9銘柄をドメーヌワインとして生産し、買い葡萄のものを合わせると全部で24銘柄生産している。
日本人女性の細やかなセンスと銘醸蔵で研鑽を積んだパートナーのサポート、そして約束の土地であるブルゴーニュが紡ぎ出す、洗練されたワインたち。
進化を続けるシャントレーヴから目を離すことができない。