旧世界のワイン造りと新世界の革新を融合
テロワールを反映したマールボロのワイン
フロム・ワイナリーがマールボロで設立されたのは1992年。だが、それ以前から既に構想は練り始められていた。
スイスのワイナリーの4代目となるゲオルグ・フロムは、1980年代に家族旅行でニュージーランドを訪れた折、マールボロのワイナリーを訪ねている。
そして、後にフロムのワインメーカーとなるハッチ・カルベラーともこの時に出会っている。その後何度もハッシュと話し合いをした結果、マールボロでワイナリーを興し、この地の単一畑もののパイオニアとなったのだった。
ちなみに現在オーナーは代わり、ゲオルグはスイスの実家のワイナリー経営に専念している。
はじめに購入した「フロム・ヴィンヤード」は、ブドウ品種の適正をみるために、当初赤ワイン用のブドウを8種類植樹。
その後、ピノ・ノワール、シラー、マルベック、リースリング、ゲヴュルツトラミネールに集約した。
ワイラウ川の影響を受けた、シルトと沖積土壌、砂利などが豊かな畑で、健全でしっかりとしたバックボーンと、はっきりしたタンニンのストラクチャーを備えたワインに仕上がる。
「クレイヴィン・ヴィンヤード」は、ブランコット・ヴァレーの北向き斜面にあり、命名の通り粘土質の土壌。ピノ・ノワール、シャルドネ、シラーが植えられており、豊かで寛容な、そしてソフトなテクスチャーが魅力的なワインが生まれる。
「クオーターズ・ヴィンヤード」は、高名なウイリアム・トーマスの畑の近くで、ピノ・ノワールに特化している。芳香が豊かで、フローラル、そして凝縮した赤いベリー系果実の香りが華やかなピノ・ノワールが得られる。
栽培は、キャノピー・マネジメントの工夫によって化学的な対処を回避できると確信し、数年後には殺虫剤も除草剤もまったく使用しないですむようになった。
そして今では完全に有機栽培を実践し、徐々にビオディナミ農法の要素も取り入れ始めている。
最終的には、畑、環境、そこで働く人々の健康のためにすべてビオディナミへ転換することを目標にしている。
また、植樹密度は4000〜6000株/ha、収穫量は30〜35hl/ha。最も情熱をかけているピノ・ノワールは11種類のクローンを植樹している。
醸造については、「フロム」シリーズは基本的に伝統的な手法を尊重したクラシックなレンジ。例えばピノ・ノワールの場合、15〜20%ホール・バンチで自然酵母で発酵、「フロム・ヴィンヤード」はマセレーションが21日なのに対して「クレイヴィン・ヴィンヤード」は40日。樽熟成を14〜16ヶ月、その後瓶熟成を24ヶ月施す。
「ラ・ストラーダ」のシリーズは、樹齢の若いブドウを使用したよりニューワールド的な側面を表に出した造り。
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