サンセールのテロワールを俯瞰する
総合的なバランスのよさ
ドメーヌ・ジャン・ルヴェルディの歴史は古く、1650年には祖先がサンセールにブドウ畑を所有し、栽培に従事していたことがわかっている。
しかしこの時代の常として、ブドウ栽培だけでは生活が成り立たず、さまざまな作物を栽培する、いわゆるポリカルチャーが行われていた。
ブドウ栽培とワイン醸造に集中したのは1950年代。
現在はドメーヌ名となっているジャンの息子、クリストフ・ルヴェルディが12haのドメーヌを取り仕切る。
醸造所はヴェルディニ村にあるが、畑は15区画にも分かれて点在。
区画はサンセールに見られる3つの土壌、シレックス(火打ち石)、カイヨット(ポートランディアンの石灰石)、テール・ブランシュ(キンメリジャンの牡蛎化石を含んだ泥灰土)のそれぞれにあり、ソーヴィニヨンの畑は3つの土壌がほぼ同じ割合。
ピノ・ノワールの畑は粘土を含むテール・ブランシュが多い。
12haのうち9haが白用のソーヴィニヨン、3haが赤・ロゼ用のピノ・ノワールだ。
白は圧搾した果汁を24時間デブルバージュ。スキンコンタクトはせずに16〜20度の温度で2〜3週間のアルコール発酵を行い、マロラクティック発酵はなし。
ロゼは基本的にダイレクトプレスによるもの。あまりに色調が薄い場合のみ、若干のマセレーションを行う。
赤は100%除梗。4〜5日間の低温マセレーションの後にアルコール発酵。マロラクティック発酵もタンクの中で済ませ、全体の20%ほどを古樽で熟成させる。
白ワインはこのアペラシオンのテロワールを俯瞰したようなバランスのよいスタイル。柑橘系の爽やかさ、硬質なミネラル、リッチな果実味が渾然一体となっている。
ロゼはフレッシュで生き生きとした酸味が感じられ、アフターのミネラルも心地よい。
赤はラズベリーやチェリーなど、赤い果実のアロマが顕著。ミディアムボディのしなやかな飲み心地である。