気候に左右されない
安定して高い品質を保つオー・メドック
「シャトー・トゥール・デュ・オー・ムーラン」はクリュ・ブルジョワの中でも上級と評価されるクリュ・ブルジョワ・シュペリウールに格付けされ、メドック格付けの第5級クラスと評価されている。
サン・ジュリアンとマルゴーの間、キュサック村にあり、オーナーで醸造家を務めるのはリオネル・ポワトゥー。
ブドウ畑は28ヘクタール所有していたが、シャトー・ラ・ラギューンに19ヘクタールを売却したため、2009年より9ヘクタールのみでワイン造りを行っている。
これによって生産量はそれまでの3分の1、6万本となった。植樹はヘクタールあたり10,000株。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロがほぼ半々で栽培されている。
収穫は手摘みで、畑の段階で2度の選果を行い、収穫後にも更に選果台で厳選する。
除梗した後に低温浸漬を行い、125ヘクトリットルほどの小さい容量の温度コントロールされたセメントタンクで発酵。発酵温度は高めの34〜35度で、発酵中にはポンピングオーバーを施し、マロラクティックも同様にセメントタンクで行う。
圧搾は昔ながらの小型の木製のものを使用。これを使うことによって、圧力調整を含めて細やかな管理ができるのが利点となる。
樽熟成は約15ヶ月間で新樽比率は30%。無清澄、無濾過で瓶詰めされる。
畑での丁寧な仕事とブドウの選果の厳しさが、このシャトーのひとつの特徴といえる。
雨が多かった2002年、夏が涼しく雨も多かった2004年。このような悪条件の揃った年でも、前者はストラクチャーとボディのしっかりとした仕上がりとなり、後者はエレガントな凝縮感を備えている。
畑の手入れ、そして粒選りまでして良質のブドウしか使用しないというこだわりが、ワインの品質に表れている。
若いうちは凝縮していてなかなか開かないが、バランスがよく、しっかりとしたメドックらしい赤。