2014年に折半耕作解消
ドメーヌの新時代幕開け
1880年頃、ジャック・リニエがモレ・サン・ドニのいくつかの畑を獲得しドメーヌはスタート。
以降、息子ジュールが引き継ぎ、その後アンリとユベールと続き、60年代にはドメーヌは8ヘクタールに届くまで拡大。
1992年には、ユベールの次男ロマン・リニエがユベールと共に働くようになり順調な進化を続けてきたが、
ドメーヌの将来を託されたロマン・リニエが2004年に他界。以降、老匠ユベール・リニエが引退を撤回して奮起し、
ビショで働いていたもうひとりの息子ローランもドメーヌに戻り、ドメーヌ・ユベール・リニエの新時代が始まった。
ロマン亡き後、ロマンの妻とドメーヌの畑を折半耕作し始めたためユベール・リニエ本人は収穫の3分の1しか受け取れず、
買いブドウによるネゴシアン・ビジネスも平行させることで需要に応えるしか手だてがない時代が続いた。
2014年、この折半耕作の契約が解消され、元々のドメーヌの畑が100%戻ってきた。
畑の管理もドメーヌで行えるようになり、2014年からは満足のできる生産を再開している。
このお披露目に2016年秋にはローランが日本へ来日し、生産者セミナー、イベントを実施。ドメーヌ・ユベール・リニエの完全復活となった。
かつてはリッチで凝縮感が高く、新樽の香りも強かったユベール・リニエのワインだが、故ロマンがスタイルを微調整し、
バランスのよいものに仕上げてからというもの、昔のユベール・リニエを支持していたアメリカ市場だけでなく、
世界的に高い評価を受けるようになっていた。
ロマンが他界し、ユベールが現場に返り咲いた時もスタイルを過去に戻すことはせず、
バランス重視の姿勢を堅持しているのは、あまりに早くこの世を去った息子へのオマージュだろう。
特級クロ・ド・ラ・ロッシュとジュヴレ・シャンベルタン1級のオー・コンボットの一部はすでに返還され、
栽培から本家の手によって造られるようになっている。
またポマールやニュイ・サン・ジョルジュに新しい畑を手に入れ、ポートフォリオは充実中。
悲劇を乗り越え復活したドメーヌの新時代に更なる期待が高まる。