ドメーヌ入りした娘が赤ワインを担当 次のステージへ向かうムルソーの造り手
ジャヴィリエ家はムルソーで何代も続く栽培農家の家系だが、ブドウ畑の面積は小さく、パトリックの父、レイモンは農作業の傍らワインの仲買人をせざるを得なかった。
パトリックは1973年にディジョンの大学で醸造学のディプロマを取得し、翌1974年に初めて自分の責任のもと、収穫、醸造を行っている。
ドメーヌは1980年代から1990年代にかけて、ブドウ畑を急速に拡大。
ムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、ポマール、そして特級コルトン・シャルルマーニュも手に入れた。
さらに妻の実家の畑を賃貸耕作し、ペルナン・ヴェルジュレスやアロース・コルトンも手がけるに至っている。
現在、賃貸も含めた所有畑の総面積は11haだ。
パトリックは現在引退し、娘のマリオンと妹(ロレーヌ氏)の夫であるピエール・エマニュエル氏が三代目として共にドメーヌを営んでいる。生産量としては80%が白で 20%が赤。マリオン氏が2008年から赤を、ピエール・エマニュエル氏が白を担当している。
ここでは「キュヴェ・オリゴセーヌ」「キュヴェ・デ・フォルジェ」と名付けられた2種類のブルゴーニュ・ブランを造っているが、前者はピュリニー寄り、後者はヴォルネイ寄りの区画から生み出されるワイン。テロワールの違いにより、前者はよりミネラルが強く、後者はリッチなスタイルとなる。
村名ムルソーにも2つのキュヴェ「レ・クルゾ」と「テット・ド・ミュルジェ」というキュヴェがあり、前者はムルソー山の頂上の真下にあるレ・クルーと1級ポリュゾの下に位置するレ・クロトのアッサンブラージュ。後者は石切り場の下にある東向き斜面のカス・テットと、ヴォルネイ寄りで西向き斜面のミュルジェ・ド・モンテリーとのアッサンブラージュだ。
性格の異なる区画同士の組み合わせが、独特のバランスと複雑味を見せる。
赤ワインの造りで特徴的なのは、ピジャージュを行わず、もっぱらルモンタージュで優しい抽出をすること。
さらに2009年よりマリオンの発案で、さらに優しいデレスタージュをアルコール発酵の終わりに行うようになった。
新樽率も適度で樽香がくどいこともなく、非常にバランスのとれたワインを造るジャヴィリエ。
若いうちから楽しめる、スタイリッシュなムルソーだ。