酸化を極力排した造りが特徴
マルク・コランから独立した新ドメーヌ
サントーバンの銘醸家、マルク・コランの長男であるピエール・イヴは、ジャン・マルク・モレイの娘、カロリーヌと結婚。
2001年にシャサーニュ・モンラッシェの教会脇に地下セラー付きの邸宅を購入してマイクロネゴスを始めた後、2005年に両家の畑の一部を相続しドメーヌを創設した。
所有畑の面積は6haほどで、今でもドメーヌとネゴスを兼業している。双方の比率はほぼ2対1。
ドメーヌのワインはサントーバンとシャサーニュ・モンラッシェが中心となり、ネゴスものはムルソーやピュリニー・モンラッシェなど。
ネゴスもののブドウもドメーヌのスタッフが収穫と選別から行うという徹底ぶりだ。
ブドウ畑では父や兄弟と働いていた時代から化学合成物質を使わない、事実上のビオロジック栽培を実践。
ワイン造りにも一家言あり、バトナージュを用いない。
これは1990年代後半から2000年代の初めのブルゴーニュ白に多く見られるプレマチュア・オキシデーション(熟成前酸化)を避けるためである。
昨今のブドウは完熟しているので、バトナージュでグラを引き出さずとも、十分にリッチさが得られるとピエール・イヴは考えている。
また、このドメーヌでは228リットルのブルゴーニュ樽よりひと回り大きな350リットルの樽をおもに使用。
微量酸素による熟成が小樽よりも理想的に進み、ピュアでフィネスの感じられるワインとなる。
2007年以降、コルクには蝋封が施され、瓶詰め後の酸化のリスクも最小限に抑えている。したがって、リリース直後のワインは多少還元的で硬いことが多いものの、カラフに移すなどエアレーションを行うことにより、香りを開かせることは容易だ。
完熟したブドウのおかげでワインは自然な豊かさをもち、テロワールからもたらされるミネラル感とのバランスがうまくとれている。
ドメーヌものとネゴスものの品質差がまったく感じられないのも特筆すべきことだろう。