所在地 |
フランス ブルゴーニュ シャサーニュ モンラッシェ FRANCE BOURGOGNE CHASSAGNE-MONTRACHET |
南仏とブルゴーニュ、二足の草鞋を履く
ジャン・マルク・モレの息子
シルヴァン・モレはシャサーニュ・モンラッシェの銘醸家、ジャン・マルク・モレの息子。妹のカロリーヌは同郷のピエール・イヴ・コランと結婚し、ドメーヌ・ピエール・イヴ・コラン・モレを創設すると同時に、自身のドメーヌも運営している。
一方、1995年に南仏へと渡ったシルヴァンは、リュベロンにブドウ畑を保有。しばらくはコーペラティヴにブドウを売っていたが、2002年に自身のドメーヌ、ラ・バスティード・デュ・クローを起こした。なぜ南仏かといえば、前妻がエクサン・プロヴァンス近郊にブドウ畑を持っており、初めてこの地方を訪れた際、惚れ込んだのだという。
2014年にジャン・マルク・モレの所有畑が生前贈与の形でカトリーヌとシルヴァンに分け与えられ、このヴィンテージからシャサーニュ・モンラッシェでもワインを醸造。リュベロンとシャサーニュ・モンラッシェ間は車で4時間に過ぎず、2週間ごとにシャサーニュへと戻ってきては畑仕事や蔵での作業に勤しんでいる。
現在、シルヴァンがシャサーニュ・モンラッシェに所有するブドウ畑は2.5haだが、2018年までには4haまで広がる予定。ジャン・マルク・モレの所有畑が約8.5haだから、カトリーヌとほぼ半分づつという計算になる。現在のアペラシオンは村名シャサーニュ・モンラッシェ(白、赤)、サントーバン1級シャルモワ(白)、シャサーニュ・モンラッシェ1級シャン・ガン(白、赤)、シャサーニュ・モンラッシェ1級カイユレ(白)、サントネイ・クロ・グラン・ルソー(赤)など。ガメイ70%、ピノ・ノワール30%のコトー・ブルギニオンも造っている。
父ジャン・マルクの造りを踏襲すると言いつつも、やはり若干のチューニングがなされている。白は早すぎもせず遅すぎもしない絶妙なタイミングで収穫し、350リットルのドゥミミュイ(中樽)で醸造。新樽率は20〜25%。15ヶ月間の樽熟を施した後にアッサンブラージュ。さらに2ヶ月間タンクで寝かせる。樽熟中の澱は細かな質の高い澱のみ残し、ジャン・マルクよりも少なめ。その結果、フレッシュさとテンションが感じられ、フィネスに磨きのかかったワインに仕上がっている。
赤はというと、100%除梗はジャン・マルクと同じだが、ピジャージュの回数を大幅に削減。その代わりにルモンタージュを頻繁に行う。キュヴェゾンの期間は15〜20日間。新樽率は白同様20〜25%。タンニンの荒々しさは感じられず、しなやかでシルキーな喉越し。フローラルなアロマと赤い果実のニュアンス、それに繊細なスパイシーさが全体のハーモニーを演出している。
73年生まれのシルヴァンはブリュノ・コランとボーヌの醸造学校が同級。ファブリス・アミオやトマ・モレとも同年代であり、年下だがアルノー・モルテやシャルル・ラショーらとも交友があるという。これからどのようなドメーヌに育つのかじつに楽しみな造り手だ。
生産者情報のPDFダウンロード:シルヴァン・モレ