シャニーの老舗ドメーヌが手がけるリュリー北部のエレガントな白と赤
「フォリー」とはフランス語で一般に「狂気」という意味だが、このドメーヌ名はラテン語の「フォリア」に由来し、妖精の踊りを意味するという。
三つ星レストラン「ラムロワーズ」のあるシャニーの南方、西にブーズロン、南にリュリーの村が控え、ドメーヌはリュリーACの北の外れに位置している。
ドメーヌを所有するのはノエル・ブートン家。父ジェローム・ノエル・ブートンから家督を譲られ、2010年に当主となったクレマンス・デュブリュルは初代エティエンヌ・ジュール・マレイから数えて5代目。
余談だがこのエティエンヌ・ジュールは、今日のフィルムカメラの祖先にあたる写真銃の発明者だ。
ドメーヌは13haの畑をリュリーACに所有し、赤白双方生産。白ワインは白いラベル、赤ワインは黒いラベルとなっている。
クロ・ラ・フォリーは初代エティエンヌ・ジュール・マレイが開墾した村名畑でシャルドネのみが植えられている。一方、4.5haとドメーヌ最大の面積を誇る村名畑のクロ・ド・ベルクロワはピノ・ノワールのみ栽培。このうち最上の区画のブドウは「キュヴェ・マレイ」に用いられる。
リュリーの1級畑はクロ・デュ・シェーヌとクロ・サン・ジャックを所有。ふたつともアペラシオンの最北、シャニー村の中にあり、シャルドネのみが植えられている。
後者はドメーヌのモノポール(村名ACの同名畑ものを手がける造り手はほかにもいる)で、名前の由来は、この畑がサンチャゴ・デ・コンポステラの巡礼路の近くにあるため。
白ワインの醸造は、村名がタンクのみ、1級畑はタンクと樽を半分づつ用いて行われる。
新樽率はクロ・デュ・シェーヌが15〜20%、クロ・サン・ジャックが30%。
赤ワインは完全除梗のうえ、短めの低温マセレーションを経てアルコール発酵。ピジャージュとルモンタージュを併用して抽出し、一部を樽熟成させる。
キュヴェ・マレイはピジャージュをせず、果帽をマストの中に優しく漬け込む。これによりまろやかなタンニンの赤ワインとなる。
どのワインもコート・ドールのものと比べて品質的に遜色なく、きわめてコストパフォーマンスが高い。
ドメーヌでは赤白ワイン以外にもクレマン・ド・ブルゴーニュ、ラタフィア、カシスのリキュール、マールなどのアルコールも生産する。