娘へバトンタッチを始めたシャサーニュの'80年代スター
ジャン・マルク・モレイはアルベール・モレイを父とし、ベルナール・モレイの弟。
したがってベルナール・モレイのふたりの息子、ヴァンサン・エ・ソフィー・モレイのヴァンサンとトマ・モレイのトマは甥にあたる。
1981年に畑の分割が行われ、ジャン・マルクは独立。自身のドメーヌを立ち上げた。
1987年にはゴー・ミヨ誌の「今年の造り手」に選ばれて表紙を飾るなど、'80年代新生ドメーヌのスターであり、ポール・ボキューズ、トロワグロ、アラン・シャペルなど三つ星レストランのワインリストを席巻する活躍ぶりを見せた。
合計8.5haのブドウ畑はおもにシャサーニュ・モンラッシェとサントネイに点在し、サントーバンとボーヌにも1級畑の区画をもつ。
特級畑はバタール・モンラッシェに0.08ha。これはドメーヌ立ち上げからずいぶん後になって父から相続したもの。兄のベルナールも同じ面積を譲り受け、現在は息子のヴァンサンとトマの間でさらに分割されている(つまり0.04haづつ)。
ジャン・マルクは今も現役だが60の坂をとうに越えており、2012年からワイン造りは娘のカロリーヌに任されている。
カロリーヌはマルク・コランの長男、ピエール・イヴ・コランの妻だ。
醸造法は村名から特級まで一貫。
白ワインは手摘みしたブドウを圧搾後、オークの小樽で発酵。新樽率は25%、樽熟成期間は12ヶ月。酵母の添加は行わず、自生酵母による自然発酵で、マロラクティック発酵もバクテリアを加えずに行われる。
赤ワインは手摘みしたブドウを100%除梗のうえ、低温マセレーションなしにステンレスタンクで発酵。圧搾まで日に2、3回のピジャージュを行う。25%の新樽率で樽熟成期間は18ヶ月。
以上はジャン・マルク・モレイのレシピだが、カロリーヌはバタール・モンラッシェの樽熟成期間は赤ワイン並みの18ヶ月に延長させるつもりでいる。
今後、造りに微調整が加わることが予想されるが、劇的な変化はないだろう。
白は十分な果実の凝縮感と、ミネラルがもたらす骨格とのバランスがよい案配。
赤はシャサーニュらしい力強さをもちつつ、やはり一直線なミネラルが全体を引き締め、エレガンスを感じさせる。
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